こんにちは!研修講師を育成して早や40年!今井尻由利子です。
★この記事は、新人マナー講師の方で、次のような悩みをお持ちの方のために書いています。
✅研修の “時間が足りない” と思っている
✅タイムスケジュールどおり研修が進まない
✅研修終了時間を5分~10分 延長することが多い
✅研修の時間管理が上手くない
✅教えることが多すぎるんじゃないかと思っている
新人マナー講師のAさんには「研修のタイムマネジメントができない」という悩みがありました。
そこで、Aさんの研修にオブザーバー(研修の観察者)として参加してみると・・・
タイムマネジメントできない根本的な原因
自分にダメ出しをするAさん
Aさんの研修にオブザーバー(研修の観察者)として参加してみると、確かにタイムマネジメントができていない状況でした。
Aさんは参加者に「皆さん、すみません。あと10分、延長してよろしいですか?」や「今日は時間がないので、◎◎はご自身でテキストを見ておいてくださいね」などと “お願い(懇願かも?)”をしているのです。
10分延長したといっても最後はバタバタと終わってしまい、明らかに時間がなく急いでいることがわかる研修でした。
さて研修が終わり、私からのフィードバックの時間です。
私がAさんの研修を観察して、伝えたかったのは次の2点です。
1、研修内容が盛りだくさんの場合は、設計ミス。
2、時間どおりに進まないのであれば、Aさんのスキル不足。
この2つを一緒にしないよう分けて伝えるのが、私の最初のアドバイスでした。
では順番に説明していきますね。
まずは労いの言葉から。
Aさんに「お疲れ様でした」と言おうとすると、その前にAさんの方から「すみません!今日も時間が足りませんでした。ダラダラ説明せずに、もっとテキパキと言わなきゃダメですよね」と、自分へのダメ出しを始めるのでした。
“でもね、Aさん、ちょっと待って。時間管理が上手くできないのは、Aさんのせいですか?” という、私の心の声。
自分へのダメ出しが終わったAさんに、私はこのように問いかけました。
「研修のタイムマネジメントができないのは、Aさんのせいですか?」
内容が盛りだくさんになっていませんか?
Aさんにしてみれば、思ってもみなかった問いかけなのでしょう。少しとまどっている様子でした。
おそらく「◎◎の説明が冗長だった」や「時間がないから自分でテキストを見ておいて、と言うのはダメよ」などと言われるものと思っていたのでしょう。それも改善点のひとつではあっても、今回の研修を見る限り、タイムマネジメントができない問題は別のところにあります。
それは、研修の内容が盛りだくさんという点です。
アレも必要、コレも必要となり、何もかもを入れてしまう「ごった煮研修」になっているのです。
(「ごった煮研修」については以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。)
何を聞かれているのかよくわからないという表情のAさんに「少し違う視点で考えてみましょう」と伝え、研修をどのように設計したのかを聞いていきました。
でもその前に「タイムマネジメント出来ていないのは、Aさんのせいではないよ」と安心させるひと言を。
これ、とっても大事😊
研修設計の経緯を聞いていくと、やはり想像したとおりです。
「現場の悩みを解消するにはこんなワークが必要だったり、ワークを入れるとアレもコレもやらなくちゃと思い…。」と、やはり典型的なごった煮研修のプロセスでした。
こんなに多くのことを時間内に教えることは無理です。どのようなタイムスケジュールを作っていたのか、その点をAさんに聞いてみてビックリ。と同時に、タイムマネジメントできない根本的な原因がわかったのでした。
具体的なタイムマネジメント例
今回の研修は3時間。その3時間をまるまる使っていたのがタイムマネジメントできない原因でした。
どういうことかというと、3時間といっても実際は2時間半ほどの研修として考えなくてはいけないからです。
では、各テーマの所要時間(目安)を考えてみましょう。
まず、どんな研修でもおそらく必要と思われるものが、
「オリエンテーション5分」
「振り返り5分」
「休憩10分」
などです。
また、何事も予定どおり進むとは限らないため、バッファ(ゆとり時間)を少なくとも5分は取っておきたいものです。ここまでで25分を要します。
ということは、3時間から25分を引くと、2時間35分。残りの時間が、ロールプレイングやディスカッション・ワーク、講義の時間となります。
3時間研修といっても、実際には約2時間半で「何を」「どのように」するか、設計しなければならないわけです。
この説明を聞いたAさんは「なぜかいつも時間が足りないのがよくわかりました!」「2時間半くらいで考えると余裕があっていいですね」と明るく言うのでした。
私がAさんに「研修のタイムマネジメントができないのは、Aさんのせいですか?」と問いかけた意味がわかったようです。
Aさんの研修は、内容が盛りだくさんのごった煮と、時間の見立てが問題であったことがわかりました。ただし、これらが改善できてもまだなお時間通りに研修が進まないのであれば、Aさんのスキルに問題があることになります。
「まずは設計を見直していきましょう」とAさんに伝え、私からのフィードバックを終えました。
研修の振り返りは分けて考えましょう
研修が時間どおりに進まない場合、講師はAさんのようにまず自分のスキル不足と考えてしまいがちです。
なぜなら、研修をコントロールしているのは参加者でなく講師だからです。
特にデビュー間もない新人講師の場合は、自分を責めてしまうことが多いのではないでしょうか。
時間に問題があるなと思った場合、自分ばかりを責めないで研修全体を見ることが大事です。
自分ばかりを責めないで研修全体を見てみましょう。
時間が少しタイトかなと感じているのなら、内容が盛りだくさんになっているかもしれません。説明スキルが足りないなど、自分のスキルの振り返りはあとにしましょう。
※ロールプレイングやワークなどの時間設定は、事前にしっかりテストします。研修本番がテスト(練習)にならないよう要注意です!
なお、説明が冗長だったり、ロールプレイングの指示が上手くできなかったり、アイスブレイクに時間をかけすぎたりなど……講師のスキルに問題がある場合は、講師自身がスキルを向上させるのは当然ですね。
もしあなたがAさんのように「研修のタイムマネジメントができない」とお悩みの場合は、自分のスキル不足と考え落ち込む前に、そもそもの設計にも目を向けてみましょう。
でもこのような振り返りが自分でできない、何が問題かわからない、客観的な意見が欲しいという方には、私からアドバイスさせていただきます。ぜひお声がけください。
最後まで読んでくださってありがとうございます😊
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