【育成コラム】講師として知っておくべき「ワンアップ」「ワンダウン」

こんにちは。講師を育成して早や40年!コミュニケーション講師の今井尻由利子です。

映画やドラマには人材育成のヒントが数多く散りばめられているのをご存じですか?私は特に海外ドラマが大好きで、いつも勝手気ままに主人公の言動などを考察しています。

そんな私が見つけた、広い意味で人材育成に関するドラマの場面を、私なりの考察を加え楽しくお伝えしています。

ドラマに興味を持ったり、違う視点で再度観たり、研修の具体例として使えそうなど…そのようなアプローチで関心を持っていただけると嬉しいです😊

今回は韓国ドラマ「賢い医師生活 シーズン2」からお伝えします。

目次

真の支援関係、人を助けるとはどういうことか

「賢い医師生活」は、大学医学部の同期5人が同じ病院で働き、患者さんのために日々奮闘する姿を描いたドラマです。

私が「ホントにそのとおり…」と改めて深く考えたのが、エピソード7のこんなシーンです。

肝移植をする患者の家族が 担当医師にいろんなことを質問していました。
その人は、看護師や医師たちからは 「うるさい人」と、けむたがられている存在です。

手術が無事に終わり、後日、休憩室で担当医師とインターンとが話しています。

インターンが「(患者の家族のことを)私たちの事情も考えず話の通じない人だと…」と言うと

手術を担当した医師が患者の家族の気持ちを丁寧に説明し、
「立場が変われば同じ。俺たちだって同じようになる」と言います。

すると、先ほどまで文句を言っていたインターン(お母さんが病死)が 涙を流して
次のように言います。

「私もそうだったのに、” お母さんを助けて ” と毎日先生をたずねて詰め寄ってたのに、
白衣を着たとたん、忘れてしまったんです 、すみません、本当にすみません」

このシーンは号泣です😢
私も母を早くに亡くしているので、”お医者さんに頼るしかない” という患者の家族の気持ちがよくわかります。

でも私がこのシーンでグッと心に刺さったのは、「白衣を着たとたん、忘れてしまったんです」の言葉です。

「あーーー、ワンアップ!」と、思わず声に出してしまったのでした。

支援関係における「ワンアップ」「ワンダウン」

人を支援する・される立場において、「ワンアップ」「ワンダウン」という関係性が生じることをご存じですか?

今回のドラマのシーンを深く掘り下げるには、この2つのキーワードを理解していることが大前提になります。
ではここで「ワンアップ」「ワンダウン」についてサクサクっとご説明しますね。

誰かを支援することが求められる関係は、普遍的に存在します。
親子、友人、夫婦などのプライベートな世界や、先生と生徒、上司と部下、講師と受講生、コンサルタントとクライアントなど、学校や仕事の世界などでも、支援を伴う関係は存在します。

ドラマでは、支援する立場=医師、支援される立場=患者さん、となりますね。

そして人は支援を求められた際、自分には何かができる、人の役に立っていると誰もが感じたいものです。
しかし、そもそもどのような支援関係も、対等な状態にはならないのです。

◆支援を求める立場・・・ワンダウン
  支援を求めた場合、人は「一段低い位置」に身を置くことになり、弱い立場

◆支援を求められる立場・・・ワンアップ
  支援を求められた場合、人は「一段高い位置」に身を置くことになり、強力

支援の関係について考える際、「ワンダウン」「ワンアップ」は重要なキーワードであり、このような不均衡があるこを自覚したうえで対応することが必要です。

たとえば研修中に受講生から質問を受けたとき、その時点で講師はワンアップ、受講生はワンダウンの立場になります。

講師自身が高い位置にいることを意識しすぎる必要はないですが不均衡な関係になることを理解しているのといないのとでは対応に大きな差が出てくるでしょう。

仮に、受講生の質問に回答しているとき、良かれと思い、ついつい求められていないことまで(余計なことまで)を話してしまったとしましょう。そのとき質問者は「聞きたいのはそこじゃない」「ありがた迷惑」などと思っているかもしれません。

こういう場合は残念ながら、役に立たない支援になっているわけです。
「ワンアップ=強い立場」だからこその言動と言えるでしょう。

もちろんこのような悪い例ばかりではありません。
しかし大事なことは、講師は専門性という職業柄、すでにワンアップしている立場であることを理解しておくことが非常に重要なのです。

★詳しくはこちらの「人を助けるとはどういうことか」をぜひお読みくださいね!どうしたらよいかというスキル本ではありません。考え方が書かれています。

講師はすでに「ワンアップ」している

支援の関係において、「ワンアップ」「ワンダウン」という不均衡があることを理解したうえで、再度、この台詞を考えてみましょう。

「私もそうだったのに、” お母さんを助けて ” と毎日先生をたずねて詰め寄ってたのに、
白衣を着たとたん、忘れてしまったんです 、すみません、本当にすみません」

私が思わず「あーーー、ワンアップ!」と叫んでしまったことが共通理解になったのではないでしょうか。

お母さんを助けてと先生にお願いしている患者の立場(=ワンダウン)から、医師になり白衣を着たとたん忘れてしまった(=ワンアップ)。

医師という職業の専門性や権威性を「白衣」として表しているわけですが、これは講師も同じことが言えます。白衣は着ませんが、問題を解決する講師の立場は白衣を着た医師と同じ、職位として与えられている専門性が すでに「ワンアップ」です。

またドラマでは、看護師や医師たちから 「うるさい人」と、けむたがられている存在を、講師も勝手に作っていることはないでしょうか。

たとえば、研修中に何度も同じことを聞いてくる参加者に「もうめんどうだな」「なぜ理解できないのか」などと思ってしまったり、
講師自身の伝え方や参加者との関わり方を振り返ることなく、勝手に参加者のせいにしてしまったりなど…

このシーンからはいろんなことを考えさせられました。頭グルグルです…

支援の関係において、「ワンアップ」「ワンダウン」は、講師やコンサルタントなどの育成者にとっては、たいへん重要なキーワードです!

涙とともにその意味を改めて考えることになるシーンです。

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今回は「賢い医師生活シーズン2」から、私の心に留まったシーンをお伝えしました。

このように、韓国ドラマからもたくさんの学びがあります!
もしご興味があれば、あなたもドラマをご覧になって育成のヒントを実感してくださいね。

最後まで読んでくださりありがとうございます😊

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この記事を書いた人

今井尻 由利子のアバター 今井尻 由利子 大阪流コミュニケーション講師

大阪流コミュニケーションをこよなく愛するコミュニケーション講師。
YouTubeにて”大阪人のコミュニケーション能力は最強!#知らんけど”「大阪×◯◯県ご当地Zoom対談」を開催中!47都道府県制覇を目指している。
現在、M-1グランプリ予選に5年連続出場中!

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