コールセンター新人講師Bさんのお悩み相談「アンケートに『上から目線の気がした』と書かれてしまいました」

こんにちは!研修講師を育成して早や40年!今井尻由利子です。

この記事は、経験の少ない新人講師方で、次のような悩みをお持ちの方のために書いています。

✅「偉そうな印象がする」や「質問がしにくかった」などとアンケートに書かれたことがある

質問に回答する際は、つい説明に一生懸命になってしまう

自分の研修に自信がない

新人講師Bさんは、明るく元気いっぱいの女性です。
コミュニケーター、スーパーバイザーを経て、以前から希望していた講師になり、「とても嬉しいです!」と毎日がたいへん楽しそうでした。

ところが、新入社員研修が終わった頃から、Bさんは元気がありません。
Bさんに話を聞いてみると次のように答えてくれました。

「研修アンケートに、何だか上から目線の気がしたと書かれてしまい、とってもショックなんです…」
「次の研修への自信がありません…」
と、とても困っている様子です。

上から目線と言われたなんて、Bさんにはたいへんショックだったことでしょう。
いったい何があったのでしょうか?

「それでは一度、Bさんの研修にオブザーバーとして参加してみましょう。そして私が感じたことをフィードバックしますね」と伝えました。

私は、Bさんが実施する新人フォローアップ研修を観察することにしました。

私は、講師が実施する研修にオブザーバー(研修の観察者)として参加し、フィードバックをしています。

フィードバックとは、観察した事実や感じた点、気づいた点などに基づき、「良い点」「改善点」を具体的にコメントします。
さらに私は、その後の目標達成に向けたスキル指導や動機づけなどにより、講師が成長するサポートをしています。

オブザーブして、私はBさんの”ある行動”にピンと来ました。

そして、Bさんに早速フィードバックし、彼女が早速それを取り入れて研修を行った結果

参加者からは

「共感してもらえて話しやすかった」
「とても質問しやすかった
何でも安心して聞くことができた」

など、たいへん喜ばれているそうです。

実は私は、たった1つ、Bさんに「“あること”を変えたほうが良い。」と伝えただけなのです。

Bさんには以前のような困った様子はまったく見えません。
悩みが解消され、今では以前のように明るい笑顔が戻ったBさんです。

私がBさんにどのような指導をしてこのような結果になったか、順にお伝えしていきますね。

目次

質問の回答の仕方を変える

新人の電話応対フォローアップ研修は、入社時に学んだ基礎スキルの復習と、入社後3ヶ月間の業務を通してどのようなことに気づいたかを共有する流れで進められていました。

Bさんの進め方には何も問題はありません。

しかし、参加者の質問に回答する際、私はBさんのある行動に気づいたのでした。
もしかすると参加者にはその行動が「上から目線」のように感じられたのかもしれません。

それは、参加者からの質問に答える際、Bさんは必ず質問者の前に立って答えていたことです。

どういうことかというと・・・

入社後3ヶ月が経つと、新人たちはより実践的な業務に携わるようになり、新たな課題に直面しています。
そのため参加者は、それぞれが抱える問題について、Bさんに具体的なアドバイスを求め質問していました。

「●●で良かったですか?」「■■の場合は、どう対応すれば良いのか悩みました」など、簡単な質問から、深く掘り下げた質問まで様々です。

Bさんはすべての質問に丁寧に回答していました。質問者のそばに行き、自信を持ってしっかり回答していました。

しかし参加者にすれば、自分の正面に立っているBさんに見下ろされているような感覚になっていたのかもしれません。
やや上から目線に見えてしまったのかもしれないと思えるのです。

また、Bさんの回答が長引いた場合、質問者とBさんだけのやり取りになり、他の参加者は置き去りになってしまいます。そして、質問者以外の参加者は、質問のタイミングを逃し、次第に発言しづらい雰囲気になっていったように思います。

これが、アンケートに書いてあった「上から目線」や「質問がしにくかった」という原因ではないかと思うのです。

では、Bさんはどうすれば良かったのでしょうか。

質問の内容によってコミュニケーションを変える

Bさんは参加者の質問に丁寧に答えていました。
それはもちろん良いことなのですが、質問内容によって、Bさんのコミュニケーションを切り替える必要があったのです。

コミュニケーションを切り替えるとは、次の2つの行動です。

●立って回答する場合
簡単な質問で即座に回答できる、緊急性がある場合

●座って回答する場合

複雑な質問、個人的な質問など、ゆっくり時間をかけたほうが良い場合

たとえば、次のような2つの質問です。

●簡単な質問で即座に回答できる質問⇒立って回答OK

電話が殺到している状況で、コール1回で電話に出た場合でも、「お待たせしました」の挨拶は適切ですか?

このようなあまり複雑なものでなく、即座に答えられる質問には、その場に立って回答しても問題ありません。
迅速で簡潔な回答を期待されているものですね。

ただし、なぜ適切かという理由が長くなりそうな場合は、コミュニケーションを考えましょう。

しかし、次のような複雑な場合は、時間がかかると思われるので、立ったままでなく椅子に座って回答するのが良いでしょう。

●複雑な質問⇒座って回答

ご年配のお客さまとのやり取りが難しくてどうしたらよいか悩んでいます。
お客さまのお声が聞き取りにくかったり…この間も、定期コースをやめたいとおっしゃったのですが、いったん中止にするのか、コースそのものを解除されるのかを聞き出すのが難しくて…

このような場合は、どんな状態だったのかを聞き出す必要があり即座に回答はできません。

また質問者との対話的なコミュニケーションが求められる場面ですから、講師は座って参加者と目線を合わせ、よりリラックスした雰囲気を作り出す必要があります。

このように、質問の内容や難易度という状況に応じて、コミュニケーションを使い分けることが望ましいです。

講師は立っていると物理的に上から目線になりがちです。
講師が座ることで、参加者との間にある物理的な距離感を減らし、対等な関係を築くことができるのです。その結果、参加者は自由に質問しやすくなり、気軽に対話を行うことができます。

このように質問内容によって、講師のコミュニケーションを変化させるという少しの工夫だけで、講師はより効果的に参加者をサポートすることができます。

その結果、参加者のモチベーションを高め、研修の満足度が向上することに繋がります。

質問の回答には”心理的な距離”も考える

研修が終わり、Bさんへのフィードバックの時間です。

改善点はただひとつ。
「質問の内容によって、コミュニケーションを変えましょうね」と伝えました。

講師が立つ場合と座る場合の参加者の心理を伝えると、Bさんは
「あー、わかりました。私は一生懸命に答えているのですが、参加者がなんとなく不安そうだったり納得してなさそうだったり、そんなときがありました。こういうことだったんですね!」

そして続けてこんなことも
「複雑な質問や個人的な悩みに寄り添いたいと思い、物理的に近づいてしっかり話を聞いていました。でもそれは結果として、心理的な距離を広げてしまっていたのかもしれませんね」

私のフィードバックを受けてBさんは、
質問の回答には、物理的な距離だけでなく、心理的な距離感も考慮する必要がある。それは、参加者の心理に基づいたものだから。という点に気づいたのです。

コミュニケーター、スーパーバイザーを経験しているBさんは、オペレーションに関する幅広い知識と豊富な経験を持っています。そのため質問の難易度を瞬時に判断し、適切なコミュニケーションを取っています。

その結果、研修の参加者からは、「どんなことでも安心して質問できた」「共感してもらえて話しやすかった」などとたいへん喜ばれています。

いまでは明るく元気いっぱいで、楽しく研修を実施しているBさんです。

もしあなたがBさんと同じような悩みがあり、振り返りが自分でできない、客観的な意見が欲しいという場合は、私からアドバイスさせていただきます。ぜひお声がけください。

私は、講師が実施する研修にオブザーバー(研修の観察者)として参加し、良い点や改善点を伝え、講師が課題をクリアし成長するサポートをしています。


最後まで読んでくださってありがとうございます😊

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この記事を書いた人

今井尻 由利子のアバター 今井尻 由利子 大阪流コミュニケーション講師

大阪流コミュニケーションをこよなく愛するコミュニケーション講師。
YouTubeにて”大阪人のコミュニケーション能力は最強!#知らんけど”「大阪×◯◯県ご当地Zoom対談」を開催中!47都道府県制覇を目指している。
現在、M-1グランプリ予選に5年連続出場中!

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